TEA's BIBLE

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産地

同じ品種を植えても、気候と作り方が違えば別の茶になります。産地名は「どんな茶か」をかなりの精度で言い当てる手がかりです。まず地図で位置をつかんでから、それぞれの産地をご覧ください。

日本茶の産地静岡鹿児島宇治八女三重西尾狭山嬉野宮崎大和熊本村上高知そのぎ加賀阿波美濃白川朝宮出雲朝日町
一番茶の時期早い(4月)標準(4月下旬〜5月)遅い(5月中旬〜6月)
点は産地の中心付近を指す代表地点で、測量点ではありません。沖縄は茶産地が無いため、表示範囲に含めていません。地図データ:Natural Earth(パブリックドメイン)

静岡しずおか

茶園面積は全国のおよそ4割を占めて第1位です。荒茶生産量も長く首位でしたが、2024年産で鹿児島に抜かれて2位になりました。山間地の川根・本山などは香りの高い浅蒸し、牧之原台地は深蒸しと、県内でも性格が大きく分かれます。全国から茶が集まる集散地でもあり、ブレンドと仕上げの技術が発達しています。

鹿児島かごしま

静岡と並ぶ二大産地で、2024年産の荒茶生産量では統計開始以来はじめて全国1位になりました。抹茶の原料である碾茶への転換が進んだことが大きく効いています。温暖な気候で摘採が早く、国内でもとくに早く新茶が出ます。平坦な茶園が多く機械化が進んでいるため、生産効率が高い産地です。やぶきた以外の品種の作付けが多いのも特徴で、ゆたかみどり・あさつゆなど品種を明記した茶が手に入りやすくなっています。

京都(宇治)きょうと(うじ)

玉露と碾茶(抹茶の原料)の産地として知られています。覆下栽培はこの地で発展しました。生産量そのものは大きくありませんが、高級茶に占める比重が高い産地です。京番茶のように、蒸した大葉や茎を揉まずに乾かし、強く焙じてスモーキーな香りを出す独自の番茶もあります。

福岡(八女)ふくおか(やめ)

玉露の産地として高い評価を受けています。とくに伝統的な棚に藁をかける「本簾(ほんず)」の覆いを使った玉露は生産量が少なく、濃厚な旨みで知られています。抹茶の生産も増えています。

三重みえ

荒茶生産量は全国3位(2024年産)ですが、名前が表に出にくい産地です。北勢地域はかぶせ茶の生産が全国有数で、南勢地域は深蒸し煎茶が中心になります。「伊勢茶」として流通しています。

愛知(西尾)あいち(にしお)

抹茶の一大産地です。碾茶の生産に特化しており、飲用だけでなく、菓子や飲料に使われる加工用抹茶の供給も大きな比重を占めます。矢作川沿いの土壌と気候が碾茶に向くとされています。

埼玉(狭山)さいたま(さやま)

商業的な茶産地としては北限に近い産地です。寒さで葉が厚くなり、強めの火入れ(狭山火入れ)と合わせて濃厚な味に仕上げます。「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」という古い茶摘み歌が知られています。

佐賀(嬉野)さが(うれしの)

玉緑茶の産地です。精揉をせず丸まった形に仕上げるため、針状の煎茶とは見た目からして違います。蒸し製と釜炒り製の両方があり、釜炒りのものは独特の香ばしさ(釜香)を持ちます。

宮崎みやざき

煎茶・玉緑茶に加え、釜炒り茶の産地としても知られています。日本の緑茶はほとんどが蒸し製なので、釜炒り茶は全国でもごく少ないお茶です。山間の五ヶ瀬・高千穂などが産地になります。

奈良(大和)なら(やまと)

日本の茶の歴史が最も古い土地のひとつとされています。生産量は大きくありませんが、山間の冷涼な気候を生かした煎茶とかぶせ茶を作っています。「大和茶」として流通しています。

熊本くまもと

玉緑茶と釜炒り茶の産地です。九州の中でも製法の幅が広く、蒸し製・釜炒り製の両方が残っています。

新潟(村上)にいがた(むらかみ)

経済的に流通する茶としては、北限とされる産地です。さらに北の秋田(檜山茶)や岩手(気仙茶)にも、小規模な茶園は残っています。雪の下で冬を越すため、生育期間が短く、葉が厚くなります。

高知こうち

山間の煎茶に加え、乳酸発酵させる「碁石茶」を作る産地です。緑茶の枠に収まらない後発酵茶が、現役で残っています。

長崎(そのぎ)ながさき(そのぎ)

大村湾に面した東彼杵町を中心とする産地です。長崎県は作物統計の主産県のひとつでしたが、2020年産(令和2年産)から調査対象が8府県に絞られたため、近年の統計には県別の数字が載りません。作っているのは蒸し製玉緑茶が主体で、煎茶とは形も口当たりも違います。

石川(加賀)いしかわ(かが)

生産量は大きくありませんが、加賀棒茶という独自のほうじ茶で知られる土地です。茶葉ではなく茎を浅く焙じるため、同じほうじ茶でも色が淡く、香りの立ち方が違います。金沢では日常の茶として飲まれています。

徳島(阿波)とくしま(あわ)

四国山地の山間で、阿波晩茶という後発酵茶が作られています。緑茶とはまったく別の作り方で、茶葉を乳酸発酵させます。「阿波晩茶の製造技術」は2021年3月11日に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

岐阜(美濃白川)ぎふ(みのしらかわ)

飛騨川の流域、白川町と東白川村を中心とする山間の産地です。白川茶と呼ばれます。標高があり朝晩の寒暖差が大きいため、摘採は遅く、香りの高い茶になります。

滋賀(朝宮)しが(あさみや)

甲賀市信楽町朝宮を中心とする、標高400メートル前後の高原の産地です。生産量は小さいものの、古くから銘茶の産地として名前が挙がってきました。日本でも古い茶園のひとつとされますが、由来は伝承であって確かめる術がありません。

島根(出雲・松江)しまね(いずも・まつえ)

産地としての規模は小さいのですが、茶を飲む文化が濃い土地です。松江は茶の湯が生活に根づいており、抹茶と和菓子の消費が多いことで知られます。出雲地方には、庶民の茶として「ぼてぼて茶」も伝わります。

富山(朝日町)とやま(あさひまち)

下新川郡朝日町の蛭谷(びるだに)に、バタバタ茶という後発酵茶の習慣が伝わります。黒茶を茶筅で泡立てて飲む「振り茶」で、泡立てるときの音が名前の由来とされます。

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