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用語辞典
日本茶の説明に出てくる言葉を集めました。産地や品種の話は、これらの言葉が分かると急に読みやすくなります。
育てる
- 覆下栽培おおいしたさいばい
- 収穫前の一定期間、茶園に覆いをかけて日光を遮る育て方です。玉露・碾茶・かぶせ茶がこれにあたります。日光の下ではテアニンの分解・代謝が進み、同時にカテキン類の合成も促されます。暗くしておくとテアニンが保たれ、カテキン類は増えにくくなります。遮光期間と遮光率で格が変わります。
- かぶせ茶かぶせちゃ
- 覆下栽培のうち、遮光期間が1週間前後と短いものです。玉露ほど濃厚にはなりませんが、煎茶より旨みが強くなります。玉露と煎茶の中間と考えると分かりやすいお茶です。
- やぶきたやぶきた
- 日本で最も広く栽培されている品種です。国内の茶園の7割前後を占めます。育てやすく味の均衡がよい一方、単一品種への偏りは病害虫や気候変動に弱いという指摘もあり、近年は「さえみどり」「おくみどり」など他品種の作付けも増えています。
つくる
- 蒸しむし
- 摘んだ葉に蒸気を当てて酸化酵素を止める工程です。日本茶を中国緑茶(釜で炒る)と分ける決定的な違いになります。20〜60秒が浅蒸し、60〜120秒が深蒸しです。深く蒸すほど葉の組織が崩れ、水色は濃く、渋みは穏やかになります。
- 碾茶てんちゃ
- 抹茶の原料です。覆下栽培の葉を蒸したあと、揉まずに乾かしたものを指します。葉脈と茎を除いた葉肉だけを石臼で挽くと、抹茶になります。碾茶のまま煎じて飲むこともあります。
- 濃茶と薄茶こいちゃとうすちゃ
- 抹茶の点て方の区別です。薄茶は抹茶2gに湯60〜70mlで、泡が立つように点てます。濃茶は同じ2gなら湯15mlほどの割合で、泡立てずに練ります。日常で「抹茶を点てる」といえば、薄茶を指します。
- 揉捻じゅうねん
- 蒸した葉を揉んで水分を均一にし、細胞を適度に壊す工程です。これがあるから、湯に入れたときに成分が短時間で溶け出します。煎茶が針状に細く伸びているのは、この後の精揉(せいじゅう)で形を整えるためです。
- 火入れひいれ
- 仕上げの乾燥・加熱です。水分をさらに飛ばして保存性を高めると同時に、香りを整えます。火入れが強いと香ばしく、弱いと若い香りが残ります。同じ茶葉でも店ごとに味が違うのは、この加減の差が大きく効いています。
分ける
- 荒茶あらちゃ
- 茶農家が仕上げた段階のお茶です。葉・茎・粉が混ざったままで、水分もまだ多く残っています。これを茶問屋や茶商が選別し、火入れをして「仕上げ茶」にします。統計で「荒茶生産量」と言うときは、この段階の量を指します。
- 出物でもの
- 仕上げの選別で分けられた、茎・粉・芽の部分です。茎だけを集めた茎茶(棒茶・雁ヶ音)、細かい粉の粉茶、丸まった芽の芽茶があります。本茶より安いのですが品質が劣るわけではなく、それぞれ独自の持ち味があります。寿司屋で出る「あがり」は、粉茶であることが多いです。
- 玉緑茶たまりょくちゃ
- 精揉をせず、丸まった形のまま仕上げた緑茶です。九州に多く見られます。蒸して作る「蒸し製」と、釜で炒る「釜炒り製」があります。針状の煎茶に比べて渋みが穏やかで、まろやかに感じられます。
成分
- テアニンてあにん
- 旨みと甘みのもとになるアミノ酸です。根で作られて葉へ送られます。低い温度の湯でも溶け出すため、ぬるく淹れると旨みが前に出ます。日光の下では分解が進み、カテキン類の合成も促されるので、覆下栽培では暗くしてテアニンを残します。
- カテキンかてきん
- 渋みのもとになるポリフェノールです。高い温度ほどよく溶けるため、熱い湯で淹れると渋みが立ちます。日光を浴びるほど、葉の中で増えます。焙じるとその一部が変化して、ほうじ茶の渋みが穏やかになります。
- 水色すいしょく
- 淹れたお茶の液体の色です。「みずいろ」ではなく「すいしょく」と読みます。同じ煎茶でも、浅蒸しは澄んだ黄緑、深蒸しは濃く濁った緑になります。濁っていることは、欠点ではありません。
- 覆い香おおいか
- 覆下栽培の茶に出る特有の香りです。海苔や青海苔にたとえられます。玉露や高級な抹茶で強く感じられ、これがあるかどうかが、覆下栽培かを見分ける手がかりになります。
季節
- 一番茶いちばんちゃ
- その年に最初に摘む茶です。冬の間に蓄えた養分が乗るため、旨みが最も濃くなります。以降、二番茶・三番茶と摘むごとに渋みが増し、価格は下がります。番茶の原料になるのは、主に三番茶以降や硬くなった葉です。
- 新茶しんちゃ
- 一番茶のうち、その年に摘んですぐ出荷されるものです。若々しい香りが身上で、火入れは控えめなことが多いです。同じ茶葉でも時間が経つと香りが落ち着くため、新茶は「その時期にしか飲めない状態」を指しているとも言えます。
- 八十八夜はちじゅうはちや
- 立春から数えて88日目です。年によって5月1日または2日ごろにあたり、一番茶の摘採期の目安とされてきました。「夏も近づく八十八夜」の歌で知られています。この日に摘んだ茶を飲むと長生きする、という言い伝えもあります。
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