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表示の読み方
袋の裏には、味を決めている条件がほとんど書かれています。蒸し方、摘採期、火入れ、産地、品種。読めれば、開ける前に味の見当がつきます。
つくり方の表示
深蒸し / 普通蒸し
深蒸し煎茶
- 何と書いてあるか
- 生葉を蒸す時間の長さです。普通蒸しがおよそ30〜40秒なのに対し、深蒸しはその2倍前後かけます。長く蒸すと葉の組織が壊れて細かく砕けるため、見た目にも粉っぽくなります。
- 味の見当
- 深蒸しは濃い緑の水色で、渋みが立たずまろやかです。濁って見えるのは砕けた葉が湯に出ているためで、欠点ではありません。普通蒸しは水色が澄み、香りが立ちやすくなります。
- 誤解しやすい点
- 「特蒸し」「極蒸し」はさらに長く蒸したもので、法令上の定義はなく各社の呼び方です。深蒸しは急須の網に詰まりやすいので、目の粗い急須か茶こしをお使いください。
一番茶・新茶 / 二番茶 / 秋冬番茶
一番茶100%
- 何と書いてあるか
- その年の何回目の摘採かを示します。一番茶はその年の最初に伸びた芽で、産地によりますがおおよそ4月下旬〜5月です。「新茶」は一番茶のうち出回り始めの時期のものを指す呼び方で、中身は一番茶と同じです。
- 味の見当
- 一番茶は旨みと香りが強く、値段も高くなります。二番茶以降は渋みが前に出るぶん、ほうじ茶や玄米茶の原料、ペットボトル飲料向けに回ることが多いです。秋冬番茶は硬くなった葉を刈ったもので、渋みが強く価格は安めです。
- 誤解しやすい点
- 「新茶」に法令上の期限はありません。一番茶であることを確かめたいなら、摘採期の表示か製造年月日をご覧ください。
荒茶 / 仕上げ茶 / 火入れ
火入れ:強火
- 何と書いてあるか
- 荒茶は産地の工場で生葉から作った状態の茶で、茎・葉・粉が混ざったまま水分もやや多めです。これを問屋や茶商が選別し、乾燥と加熱(火入れ)をして仕上げ茶にします。店頭に並ぶ茶のほとんどは仕上げ茶です。
- 味の見当
- 火入れが浅いと若い香りと青みが残り、強いと香ばしさが出て水色も濃くなります。同じ産地・同じ品種でも、火入れの加減で別物になります。
- 誤解しやすい点
- 「荒茶」として売られているものもあり、こちらは素材そのままに近いぶん保存性が低いです。早めに飲み切る前提でお求めください。
出物(茎茶・かりがね・芽茶・粉茶)
かりがね
- 何と書いてあるか
- 仕上げの選別で分けられた部位の呼び名です。茎だけを集めたのが茎茶(棒茶)で、玉露やかぶせ茶の茎は「かりがね」「白折(しらおれ)」と呼びます。芽の部分が芽茶、細かい粉が粉茶です。
- 味の見当
- 茎茶は渋みが少なく甘みが立ち、水色は淡いです。芽茶は少量で濃く出ます。粉茶は短時間で濃く出るので、寿司屋の「あがり」に使われます。いずれも本体より安いことが多いですが、味が劣るという意味ではありません。
- 誤解しやすい点
- 「粉茶」と「粉末茶」は別物です。粉末茶は茶葉をそのまま挽いて湯に溶かすもので、粉茶は普通に急須で淹れます。抹茶ともまた違います(抹茶は碾茶を石臼で挽いたもの)。
産地の表示
「○○茶」と「○○茶ブレンド」
静岡茶 / 静岡茶ブレンド(静岡茶50%)
- 何と書いてあるか
- 日本茶業中央会の「緑茶の表示基準」では、産地名を名乗るには国産で、かつその産地の荒茶の使用割合が50%以上必要とされています。100%なら「○○茶」、50%以上100%未満なら「○○茶ブレンド」のようにブレンドと分かる表記にし、割合を近接して示します。
- 味の見当
- 味の話ではなく素性の話です。ただし「○○茶ブレンド」なら、その産地の性格は半分程度しか効いていないと読めます。
- 誤解しやすい点
- 産地名は「荒茶を製造した」土地を指します。仕上げをどこでしたかは別で、荒茶の産地以外で仕上げた場合は仕上げ地を近接表示します(製造業者の住所から明らかなら省略可)。なおこの基準は業界の自主基準であり、法的拘束力があるものではありません。
宇治茶
宇治茶
- 何と書いてあるか
- 京都府茶業会議所の定義では、京都・奈良・滋賀・三重の4府県で生産された茶を、京都府内の業者が京都府内で仕上げ加工したものを指します。京都府産100%という意味ではありません。
- 味の見当
- 宇治で発達した覆下栽培と仕上げの技術がかかっている、という読み方をします。
- 誤解しやすい点
- 「京都産」と書いてあるかどうかは、別に確認してください。産地を京都府内に限りたいなら、和束・南山城といった市町村名まで書かれたものを選んでください。
品種の表示
品種名
やぶきた100% / やぶきたブレンド70%
- 何と書いてあるか
- 同じ表示基準で、品種名を名乗れるのは ①農林水産省の通達に基づき命名登録された品種(茶農林◯号)②種苗法に基づき品種登録された品種 ③都道府県などが育成した固定品種、のいずれかです。単一品種なら「品種名」または「品種名100%」、複数なら使用重量の多い順に並べます。
- 味の見当
- 品種が分かれば、味の見当がつきます。さえみどりなら渋みが少なく、ゆたかみどりなら濃い緑と強い旨み、といった具合です。
- 誤解しやすい点
- 品種名が書かれていない茶が劣るわけではありません。ブレンドは味を安定させるための技術で、日本の煎茶は長くブレンドを前提に作られてきました。
その他の表示
有機JAS
有機JASマーク
- 何と書いてあるか
- 登録認証機関の検査を受けた有機農産物であることを示す、法律に基づくマークです。茶では、化学的に合成された農薬・肥料を原則使わずに一定期間栽培したことを意味します。
- 味の見当
- 味の等級とは無関係です。栽培方法の表示であって、品質の保証ではありません。
- 誤解しやすい点
- 有機JASマークが無くても農薬を使っていないとは限らず、逆に有機だからおいしいとも限りません。残留農薬には有機・慣行を問わず、食品衛生法の基準がかかっています。
抹茶の「飲用」と「加工用(製菓用)」
製菓用抹茶
- 何と書いてあるか
- 業界の慣行的な区分で、法令上の定義はありません。飲用は薄茶・濃茶として点てる前提の上級品、加工用は菓子や飲料に混ぜる前提で、価格が抑えられています。
- 味の見当
- 加工用は渋みと苦みが強く、乳や砂糖と合わせて成立するように作られています。そのまま点てると苦く感じます。
- 誤解しやすい点
- 「抹茶」と「粉末緑茶」も別物です。粉末緑茶は煎茶などを挽いたもので、碾茶を挽いた抹茶とは原料も栽培も違います。原材料表示を見ると区別できます。
賞味期限と製造年月日
賞味期限 2027.03
- 何と書いてあるか
- 未開封で表示どおり保存した場合に、おいしく食べられる期限です。多くは製造から6か月〜1年で設定されています。製造年月日が併記されていれば、どれだけ寝ているかが分かります。
- 味の見当
- 緑茶の劣化は、色と香りに先に出ます。期限内でも、開封後は日単位で香りが落ちます。
- 誤解しやすい点
- 賞味期限は「未開封」の話です。開けたら期限に関係なく密閉して冷暗所に置き、数週間で飲み切るのが現実的です。詳しくは保存のページをご覧ください。
産地銘柄と品種名の項は、公益社団法人日本茶業中央会「緑茶の表示基準」(2019年3月)の本文に基づいています。 50%・100%という数値は同基準の記載どおりです。これは業界の自主基準であり、法的拘束力を持つものではありません。
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