知る
茶の一年
新茶がいつ出るかは、産地によって2か月以上ずれます。畑で何が起きていて、そのとき店頭に何が並ぶのかを並べました。摘採期は年と産地で動くので、日付はすべて幅で書いています。
1〜2月
休眠
- 茶畑では
- 茶樹は生育を止めて冬を越します。この時期に整枝(枝を刈り揃える作業)を行い、寒肥を施して、春の芽の伸び方を整えます。雪の下で越冬する村上のような産地もあります。
- 店頭では
- 並んでいるのは前年の茶です。一番茶を低温で寝かせた「蔵出し」が、この時期まで出ていることもあります。新茶を待つより、いま飲んでおいしい茶を選びたい季節です。
2月上旬
立春。八十八夜の数えはじめ
- 茶畑では
- 暦の上での春です。ここを1日目として、88日目が八十八夜にあたります。茶業では、新茶の時期を測る目印として今も使われています。
- 店頭では
- 「八十八夜摘み」を謳う茶が出るのは、この88日後です。日付の根拠はここにあります。
3月下旬〜4月上旬
日本で最も早い一番茶
- 茶畑では
- 種子島で摘採が始まります。国内でもっとも早く、続いて鹿児島本土が4月上旬からになります。暖かい南から順に、桜前線を追うように北上していきます。
- 店頭では
- 「走り新茶」として出回ります。極早生品種が使われることが多く、香りは軽く若いものになります。年内で最初に新茶を飲める時期です。
4月
覆いをかける。そして霜を防ぐ
- 茶畑では
- 玉露・碾茶用の畑は、新芽が伸び始めてから覆いをかけて日光を遮ります。かぶせ茶は、もっと短い期間だけ覆います。同時に、芽が出た茶樹は霜に弱くなるため、防霜ファンで冷気を散らします。
- 店頭では
- 主産地の新茶は、まだ出ていません。前年の茶の値が下がることがあり、ほうじ茶や番茶を買い足すには都合のよい時期です。
5月上旬
八十八夜
- 茶畑では
- 立春から88日目にあたります。「八十八夜の別れ霜」といい、この頃を過ぎると遅霜の心配が減ります。静岡をはじめ、主産地の一番茶が最盛期に入ります。
- 店頭では
- 新茶が本格的に出回ります。なお日付は「5月2日、閏年は5月1日」と覚えられてきましたが、立春の日付が動くため、5月1日になる年もあります(2021年など)。固定ではありません。
5月中旬〜6月
一番茶が北と山へ
- 茶畑では
- 宇治や狭山、山間地の川根・本山、さらに北の村上へと摘採が移ります。標高が高い産地や寒い産地ほど遅くなります。生育期間が長いぶん、葉は厚くなります。
- 店頭では
- 産地ごとに時期をずらして新茶が並びます。同じ「新茶」でも、5月上旬の鹿児島産と6月の山間地産では性格が違います。
6月中旬〜7月
二番茶
- 茶畑では
- 一番茶の摘採からおよそ45〜50日後に、次の芽が揃います。日射が強く気温も高いので、葉は速く育ち、渋みが前に出ます。
- 店頭では
- 二番茶が単独で店頭に並ぶことは少なく、ほうじ茶や玄米茶の原料、ペットボトル飲料向けに回ることが多くなります。価格は一番茶よりかなり下がります。
8月
三番茶、または秋整枝
- 茶畑では
- 三番茶を摘む産地と、摘まずに秋整枝として枝を刈り揃え、翌年の一番茶に備える産地とに分かれます。摘めば収量は増えますが、茶樹は消耗します。
- 店頭では
- この時期の新しい動きは多くありません。冷茶や水出しの需要が高く、深蒸しや粉茶が動く季節です。
9月下旬〜10月
秋冬番茶
- 茶畑では
- その年最後の刈り取りです。硬くなった葉と茎をまとめて刈ります。番茶や、地域によっては後発酵茶の原料になります。
- 店頭では
- 安価な番茶が出ます。渋みが強く、量を気にせず飲む日常の茶に向きます。ほうじ茶の原料にもなります。
11月
口切りと蔵出し
- 茶畑では
- 春に摘んで茶壺に詰め、封をして冷暗所で寝かせておいた碾茶の壺を開けます。これが「口切りの茶事」で、茶の湯では「茶人の正月」と呼ばれます。夏に使わなかった炉に火を入れる炉開きも、同じ頃です。
- 店頭では
- 煎茶でも、一番茶を低温で数か月寝かせた「蔵出し茶」が出る季節です。新茶の若い香りは落ちるかわりに、渋みと旨みの角が取れてまとまります。どちらを良しとするかは、好みの問題です。
12月
越冬へ
- 茶畑では
- 茶樹は再び休眠に入ります。寒害を防ぐための管理をして、翌年の一番茶を待ちます。
- 店頭では
- 贈答の需要が動く時期です。年末年始に向けて、玉露や上級煎茶といった贈り物向けの茶が前に出ます。
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